NHKスペシャルって、本当に質が高くておもしろい内容が放送されるのですが、その中でも2015年2月に放送された
『腸内フローラ 〜解明!驚異の細菌パワー〜』
は日本中に多くの影響を与えた、バツグンの内容であったと思います。
実際にこの番組がキッカケで腸内フローラに興味を持った人もたくさんいるようですし、そのお陰で健康を意識したライフスタイルに変わっていった人もたくさんいるはず。
日本中の多くの人の健康に貢献した、素晴らしい番組だったというわけですね。
なので今回は、
「しまった見逃した!どんな内容だったの??」
という人のため、この記事で番組を見るより分かりやすく、その内容を伝えたい!と思っています。
もちろん、実際のテレビを見たほうがインパクトはありますが、見逃したNHKの番組は再放送くらいしか気軽に見れる機会がありませんので、この記事を参考にしてくださいね。
目次
腸内細菌・腸内フローラの基礎知識
まず冒頭では、腸内細菌や腸内フローラの基礎知識が説明されます。これが分からなければ何も理解できませんよね。
番組の最初の説明ポイントは以下です。
・腸内細菌は、体内に100兆以上いる。合計の重さはなんと1.5kgほど。
・腸内細菌は腸内にあつまり花畑のような形をつくっている。これを腸内フローラという。
・腸内フローラが、糖尿病・ガン・アレルギー・肥満を予防したり、進めてしまったりする。
だいたい、必要な基礎知識として上記のポイントの説明があります。
私たちの体には、手にも足にも髪にも…、考えたくないかもしれませんが、たくさんの細菌がくっついていますよね。
しかし、そんな細菌たちとは比べ物にならないくらいの量(100兆)の細菌が腸に住み着いているんですね。
あわせた重さが約1.5kgと、脳と同じくらいの重さなのですから、その重要性が分かってきます。
それがあらゆる病気や美容の問題を解決するのですから、ワクワクする研究だな…と最初に思わせる番組作り。
肥満の腸内フローラの関係
番組は、肥満と腸内フローラの関係の研究を解説するところからスタート。
簡単に言えば、
「腸内フローラ次第で、太るか痩せるかが決まる!」
ということ。
肥満フローラとやせフローラ
番組ではすぐに、ワシントン大学のジェフリー・ゴードン教授の、
「太った人と痩せた人それぞれの腸内細菌を、マウスに移植する」
という実験が紹介されます。
「太った人の腸内フローラ(肥満フローラ)を移植したマウス」
と
「痩せた人の腸内細菌(やせフローラ)を移植したマウス」
の2種類を作り、同じ環境と同じエサで飼育。
結果は…、何度やってみても、
「肥満フローラのマウスが太り、やせフローラのマウスは太らなかった」
という結果に。
結局は、バクテロイデスという腸内細菌と、短鎖脂肪酸という物質が重要だったのですが…、やはり肥満には腸内フローラが関わっていることが研究で認められたわけですね。
つまりは、太っている人は太りやすい腸内フローラになっているし、やせる人はやせる腸内フローラになっているということ。だから腸内フローラを変えるだけでやせることができるのです。
この番組がキッカケで、
「腸内フローラを整えればやせる!」
とか
「ということは、ヨーグルトを食べるとやせる!」
というようなことがあちこちで言われ始めました。
まぁ、かなり飛躍しすぎているとは思いますが…、一応の根拠はあるのです。
ダイエットと腸内フローラの関係は、以下の記事に詳しく書いています。
腸内フローラと老化の関係
「腸の状態しだいで、太ったりやせたりするなんて…!」
と視聴者を驚かせてすぐ、番組は
「腸内フローラと老化の関係」
に突入。
腸内細菌が作る「エクオール」という物質が、目尻のシワをなくしていく!という実験結果を紹介しています。
腸内細菌の一種が、大豆などをエサにしてエクオールを作ってくれるのですが、そのエクオールがお肌にハリを出してくれるのです。
腸内細菌が、私たちの肌のシワを伸ばしてくれる。こんなに素晴らしいことはありませんし、
「よし、腸内細菌を増やす生活を送って、若返ろう!」
と思った方もたくさん出たはずです。
出演した東京大学の服部教授の話でも、いつまでも若々しい人は、腸内細菌がエクオールをたくさん作っているはずだ…とのこと。
じゃあ、私もエクオールをたくさん出したい!と思うところですが…、悲しいことに、人間は、
- エクオールを作る腸内細菌を持っている人
- エクオールを作る腸内細菌を持っていない人
の2種類に分かれるのです。つまり、私はもちろん、この記事を読んでいただいているアナタも、必ずエクオールを作れるとは限りません。
(しかし、エクオールを作る菌は大豆をエサにして増えるので、納豆など大豆を食べてない人は、エクオールを作る細菌を持っていても意味がないし、餌がなくなって菌自体が減っていくとのこと。…ちゃんと大豆を食べないといけませんね。)
いつまでも若くて美しい女優さんなんかは、エクオールをたくさん作る腸内細菌を持っているということですよね、羨ましいかぎり。
しかし、諦める必要もありません。
エクオールを作る腸内細菌を持っていないのならば、それを飲んで、ムリヤリ腸に入れてしまえばいいのです。
そんな発想から、
「エクオールの錠剤を飲んで、肌のシワをなくす」
という実験が行われました。
実験はカンタンで、3ヶ月間エクオールの錠剤を飲んだ女性の目尻のシワがなくなってきた…というもの。
出典:NHKスペシャル取材班(2015)『やせる!若返る!病気を防ぐ!腸内フローラ 10の真実』Kindle位置No.397
説明の通り、このエクオールは腸内細菌が作ってくれる物質なので、まさに「腸内フローラを改善すれば、シワは少なくなる!」ということがある程度証明されたわけですね。
エクオールを作る腸内細菌を持っていなかったとしても、サプリメントで飲めばOKだということ。
ところで…、
「なんで、そのエクオールが肌のシワを無くしてくれるの??」
という疑問が湧いてきますが、このエクオール、あのコラーゲンの生成をサポートしてくれるのですね。だから徐々にお肌にハリが戻ってきたわけです。
※ちなみに…、「じゃあコラーゲンを直接とればいいじゃん」と思った方がいるかもしれませんが、コラーゲンは食べ物や飲み物で摂取してもお肌にまで吸収されないので、意味ありません。お肌のためにコラーゲン配合のものを飲んだり食べたりしている方は、すぐにやめてくださいね。
あくまでも、腸で作られて始めて意味があるのです。
エクオール…なんて物質の名前は、この番組がなければ広く知られることはありませんでした。しかし、
「エクオールを飲めば肌にハリが出る」
ということが分かった今、「エクオール」と検索するだけで、さまざまなサプリメントの広告が出てくるようになりました。
私のように、自分の肌を見て
「自分は絶対、エクオールを作れてないに違いない!」
という少し悲しい確信のある方は、よく調べて自分にあったサプリを選んでくださいね。シワが改善し、若々しさを取り戻せるかもしれません。
腸内フローラと糖尿病・ガンの関係
番組は次に、腸内フローラと糖尿病・ガンの関係の解説に。
腸内フローラと糖尿病
糖尿病は、血糖値コントロールするインスリンが体内で作りにくくなる病気ですよね。だから、インスリンを外から注射しないと血糖値を抑えることができなくなります。
「なんでインスリンが出なくなっちゃうのだろう?」
という疑問ですが、それは腸内フローラと肥満の関係でもちょろっと出てきた、短鎖脂肪酸という物質がカギを握っていました。
短鎖脂肪酸が少なくなると、インスリンも少なくなることが分かったのです。
「じゃ、短鎖脂肪酸を作る腸内細菌を増やせばいいじゃん」
ということで、腸内細菌のエサとなる食物繊維やポリフェノールを配合したものを飲むと、インスリンがたくさん出るようになった…ということ。
見たところ、フクザツで特別な成分を使っている…というわけでもなかったため、「普段の食生活を改善することで十分、糖尿病治療ができる!」という期待が膨らむ内容でした。
腸内フローラとガン
続いて番組は腸内フローラとガンの関係へ。日本の研究で、ガンを引き起こす腸内細菌が発見された…という事実からスタート。腸内細菌って、イイヤツばっかりではないわけですね。
ガンを引き起こすなんて困った腸内細菌ですが、発見した地名にちなんで、アリアケ菌と名付けられました。
(悪い菌の名前を自分たちにちなんだものにするところが面白いですね。)
大切なところは、アリアケ菌は、肥満になると増えていく…ということ。つまりは、肥満はガンのもとだということが分かったんですよね。
昔から、医学界では何となく、「肥満って、ガンと絶対関係あるよなぁ」という認識はあったようですが、科学的な根拠もなく、ただの憶測であったわけです。
しかし、日本の研究者が研究を重ね…、
「あれ、肥満のマウスって、変な腸内細菌が増えていないか?」
「これは新種の菌だ。これをアリアケ菌と名付けよう」
「げげげ、アリアケ菌がガンを引き起こしてるよ!」
ということで、肥満とガンの関係を、腸内細菌に注目して突き止めたわけですね。世界中で有名になった研究でした。
出演した教授の話では、このメカニズムは大腸ガン・胃ガン・乳ガン・子宮ガン・肺ガンといった五大ガンや、前立腺ガンや肝臓ガンなど、多くのガンと関係がある話だと言うことなので、食生活の意識が本当に大切だな…と思わされたシーンでした。
つまり、私たちが肥満になりやすい高脂質で偏った食事をすればするほど…、アリアケ菌は腸内で増えていってしまうこととなります。ガンのリスクが高まります。
逆に、ヘルシーな食事を毎日意識すれば、ガンを予防することになるんですね。
便微生物移植法の驚くべき効果
続いて紹介されるのは、便微生物移植法という、病気の治療方法。
いままで、肥満もシワも糖尿病もガンも…、腸内フローラの環境しだいで進行したり改善したりできることが分かりましたよね。
ということは、極端にカンタンに考えれば、
「やせた人の腸内フローラを移植すればやせる」
「若々しい人の腸内フローラを移植すれば若返る」
「糖尿病じゃない人の腸内フローラを移植すれば糖尿病が治る」
「ガンになりにくい人の腸内フローラを移植すればガンにならない」
ということが言えるわけですよね。
そんな単純な話じゃないでしょ…と思うかもしれませんが、そんな単純な話でした。
健康な人の便を、自分の腸に入れる
ゲゲゲ、と思う人も多いでしょうが、
「健康な人の便を、アナタの腸に注入します。それで病気を治しましょう」
という治療法が、便微生物移植法。うんちにはその人の腸内細菌がたくさん含まれていますから、うんちを注入するだけで、その人の腸内フローラをまるごと移植することになるわけですね。
なんでも、他人の便を水にとかして、チューブでお尻から腸に流し込むようです…。できれば受けたくない治療なのですが、効果は本当に劇的。
生命維持装置をつけていた人が、翌日にはピンピンしていたりとか、何年も悩まされていた病気が1日で治ったり。ちょっと信じられない程なのですが、欧米では「強く勧められる治療法」として認識されているのだとか。
「ぜひ、便微生物移植法を受けたいです!」
という人は少ないのかもしれませんが、健康な腸内フローラを保てば、病気は解決するんだ!ということが確信できただけでも大切なことではないでしょうか。
しっかりと食生活を意識して、腸にいい食べ物を食べていかないと、いつかは便微生物移植法のお世話になるかもしれませんね。
腸内フローラと脳の関係
続いては腸内フローラと脳の関係。なんと、私たちの性格も腸内フローラが決めている…とまたまた衝撃の内容。
不安や恐怖・喜び・幸せ・悲しみ…といった感情は脳で生まれるわけですが…、その感情は腸内細菌によって操られている!という話。
腸内細菌と性格
普通、性格って、「遺伝子で決まっているもの」「変えられないもの」というイメージがありますよね。
でもその性格の違いは、腸内フローラの違いによるものでは!?と期待させるマウスの実験があります。
単純な実験なのですが、好奇心旺盛な活発マウスと慎重な臆病マウスの2匹を用意し、その腸内フローラをそっくりそのまま入れ替えてしまうと、2匹のマウスの性格が入れ替わった!というもの。
また、コミュニケーション能力の低いマウスに、コミュニケーション能力の高いマウスの腸内フローラを移植すると、マウスのコミュニケーション能力が高まった…という信頼できる実験結果も。
こういった実験をどう捉えればいいかということですが…、この番組以外にもいろいろな本や論文を読んでみた結果、カンタンに言えば
「腸内の善玉菌を増やすなどして、腸内フローラをよくすれば、性格も有利なものに変わる」
というような解釈でほぼ間違いないのではないかな、という印象を持っています。
このサイトの記事をどんどん参考にして、腸にいい生活を送ってくださいね。
腸内細菌とうつ
腸内フローラと脳が関わっていることが分かってきたので、腸内フローラとうつの関係も注目を浴びています。
マウスの腸内フローラを入れ替えて性格を変える実験をした博士が、
「うつの患者の腸内細菌を調整して、うつを治す!」
という治療法を開発しているシーンが放送されます。
ここに関しては、時間の関係か、番組ではあまり多くが語られていません。
詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてくださいね。
人間は、腸内細菌を選んでいる!
世の中には細菌なんて数え切れないほどいるのですが、そのうち、私たちの腸に住むことを許されたのはごくわずか。「とにかく腸に入ったら、腸に住み着ける」なんてことはないのです。選ばれた細菌のみが、私たちの腸に住むことができます。
番組の最後には、「私たちの腸は、どうやって住んでもいい細菌を選んでいるのか?」という謎にせまります…。
カンタンに説明すると、細菌は腸のカベを覆っている粘液の中に入れば、そこに住み着くことができるのですが、そのためにはIgA抗体というものに張り付いてもらわないといけません。
IgA抗体は、「コイツなら腸に住んでもらってもイイかな!」と思った細菌にだけ、張り付くとういワケ。
以下の記事も参考に。
美容と健康の意識を高めてくれる番組
とまぁ、『腸内フローラ 〜解明!驚異の細菌パワー〜』の番組の要所をまとめていきました。重要な知識ポイントだけで言えば、このページをお読みいただくだけで十分だと思います。
ただ、やっぱりNHKの製作による映像なので、番組の方が引き込まれる構成です。できれば再放送などをチェックしてほしいな…と思います。
(NHKスペシャルなんかはスゴく質の高い番組が多いので、お金を払ったら見逃した番組もネットで見放題…みたいなサービスを作って欲しいですよね。)
最後は、出演者の方々も、「腸の中って宇宙みたい!」という意見で一致。この感動は映像でしか伝わらないかもしれませんね。
ただただ「凄〜い!」で終わるだけでなく、ちょっとした感動にまで持っていって番組を締めるところは流石NHK。
知識が深まるだけでなく、「もっと腸にやさしい生活を送ろう!」という決意を高めてくれる番組ですよ。
番組の書籍版を読むのがオススメ
ただ…、この番組の欠点として、
「じゃあ、具体的にどんな生活を送ればいいの?」
という説明は少し弱くなっています。この記事を読んで、そんな不満を持った方も多いのではないでしょうか。
なので、この欠点をカバーするため、この番組の放送後にNHKスペシャル取材班が
『やせる!若返る!病気を防ぐ! 腸内フローラ10の真実』
という素晴らしい本を出しています。具体的な方法や、番組では放送できなかった知識も詳しく書かれていますので、
「もっと腸内フローラのことを知って、美容も健康も我が物にしたい!」
という熱意を持っている人は、ぜひ本を読んでみてください。
この本のあとがきには、
番組制作の過程では、ディレクターが「この話をいれたい」「あの仕組みはもっと説明したい」と思いながら、
泣く泣く情報をそぎ落としていく作業に多くの時間を費やしました。
と書かれているように、テレビでは削ることになった悔しさが、本にぶつけられています。
さすが、難しいことを分かりやすく届けるプロであるNHK取材班が書いた本だけあって、どの本よりも分かりやすい文章で読みやすいと思いますよ。
あとは、このサイト『サプリノート』でも様々な情報をお届けしているので、暇な時にパラパラ見てくださいね。知識から具体的方法まで、いろいろなヒントが見つかると思います。
ということで、話題になったNHKスペシャルの放送まとめでした。
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